格差を許さない日本で年収に格差をつける方法  格差を許さない日本で年収に格差をつける方法 - 年収相場と年収ランク

 2007年は、日本に所得格差が広がり、格差社会が本格化したと騒がれた年でした。働いても働いても豊かになれないワーキングプアーについても、社会問題として頻繁にテレビや雑誌で取り上げられ、政治でも大きな争点となりました。でも本当に日本に格差社会が訪れたのでしょうか。周辺を見渡してみても、本格的な格差社会の広がりが見られません。確かにテレビや雑誌を見ると、サラリーマンなのに億近く稼ぎ出す外資系金融機関の社員が存在する一方で、低賃金の派遣社員やフリーターの人口が拡大していることが伝えられています。業界や企業ごとに年収の格差があることを、以前に「30歳の平均的年収は650万円?」の記事でも紹介しています。でも、実生活では「格差が広がっている」と実感するほどのことはなく、昔からこれぐらいの格差は当たり前に存在していたはずです。むしろ、安定嗜好の若者も増え、社会が平均化に向かっているような気さえします。

 「週刊東洋経済2007年12月15日号」では格差社会を心理的側面から検証しており、日本人の「格差を許せないという性質が、必要以上に格差社会について騒ぎ立てられる原因」としています。確かにデータ上でも所得格差の広がりは出ているが、米国などに比べればとても穏やかなのだそうです。日本では元々所得格差が大きい傾向のある「高齢者」の人口比率が増えたため、所得格差のある程度の広がりも当たり前のことなのです。「米国では金持ちがより金持ちになり、日本は貧乏な人がより貧乏になった」という傾向もあるようです。起業家精神でも世界ワーストである日本では、チャレンジして金持ちになる人もそんなに増えていないのです。

 大阪大学が行った調査によると、日本人は平等意識が強く「学歴、才能、運、家庭環境」で所得が決まるべきではないと思っていることが分かったそうです。その分、少しでも「学歴、才能、運、家庭環境」などが原因で格差が広がったと思うと、データ以上に格差感や不公平感を感じるのです。格差に寛容になれない国民性のためか、政府はワーキングプアーを救うための再チャレンジ支援などの制度に積極的に取り組んでいるようです。一方で、格差をより広げる可能性のある、ベンチャー事業のためのエンジェル税制などの制度にはいまいち力が入っていないようです。政策という意味でも、結局日本は平均化に向かってしまっているといえます。

 でも、日本が格差のない平均化した社会であり続けると、逆にグローバルな環境において格差を生んでしまうことになります。例えば全国民の平均年収ではそれほど差が無い日本とアメリカですが、エンジニアの日米間の平均年収格差は500万円もあります。アメリカでは専門的な職種のエンジニアが所得面で優遇されていることが分かります(日本:752万円、アメリカ:1250万円)。さらにアメリカのエンジニアのほうが、週の勤務時間が平均5時間も少ないという結果がでています。日本ではどの職種でも所得格差はほとんどなく、どこでも長時間労働の傾向があります。スキルや努力に見合った報酬や労働環境を与えないと、グローバルな環境において不公平感が出て、野球選手が大リーグを目指すように、優秀な頭脳が国外に大量流出する時代も来るかもしれません。

 また、この日米エンジニアの調査におけるもう一つ大きな違いは平均転職回数です。日本が転職回数0.8回に対し、アメリカは3.1回と圧倒的に多いです。アメリカでは適度な転職がキャリアアップのツールとして考えられており、あまり転職しない人は逆にリスクを取れず一社にしがみつくタイプの人だと判断されることもあるようです。一方日本では、2007年度の新入社員の意識調査でも若者の安定志向が強まり、「今の会社に一生勤めたい」と答える人数も急激に伸びているという結果が出ているようです。また「社内で出世するより、自分で起業して独立したい」という若者も3年で4割減少したそうです。

 一方で企業側は、転職してキャリアアップすることを受け入れる傾向にあります。適度な転職経験は、スキルや適応能力の証明になり、逆に企業側に安心感を与えることにもなります。今後も若者の安定志向が続けば、転職市場における企業側のニーズと転職者側の供給との間にギャップが続くことになります。そのため転職者側の売り手市場が続くかもしれません。そうなると、今後も転職によって年収が増加する人が増えていくと予想できます。

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関連リンク
  週刊東洋経済2007年12月15日号
  米国と日本のエンジニアの平均年収に500万円の差
  新人の転職志向 最低の34%

(更新日: 2008年01月03日)




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