仕事とゆとりのどちらを選ぶ?  仕事とゆとりのどちらを選ぶ? - 外資系企業の見分け方

転職する際によく迷うのは「年収と仕事内容」のどちらを優先するかということです。そこに「家族」「趣味」「ゆとり」などの選択肢はありません。それは、日本が仕事中心の社会だからです。朝出勤し、通常は数時間サービス残業してから長い通勤時間をかけて家に帰ります。家に帰ったら、ご飯を食べて寝るしか時間がありません。まとまった休暇も取りにくいのが現状です。最近の不況が影響して、生産をストップするためにゴールデンウィークに16連休を取らせる企業もあったようです。でも結局何をしてよいか分からず、困惑する人が増えたというニュースがやっていました。仕事中心の日本を象徴するようなニュースでした。仕事中心の生活ですから、仕事で評価されたり、仕事でより多くの対価をもらうことに目的が集中してしまいます。

しかし、日本とはまったく価値観の違う世界もあります。ヨーロッパではまったく働き方が違います。仕事でヨーロッパの人と働く時に感じるのは、まず労働時間が違うことです。退社時間の午後5時を過ぎると仕事が残っていても必ず家に帰ります。残業はありません。日本のような通勤地獄もありません。また、2週間から長くて5週間の休暇を普通にとりますが、休暇は当然の権利で誰も邪魔しません。病欠は有給休暇にカウントされないので、風邪でもすぐに休みます。それでいて国民あたりの生産性が日本より高いのです。(外資系で文化の違いを知る - 外資系企業の見分け方 参照)

ヨーロッパにいくと、平日からぶらぶらショッピングしたり、ゆっくりと公園でくつろいでいる人々を見かけます。父親が子供と平日の昼間から遊んでいる姿もみかけます。日本ではありえない光景です。「この人たちはどうやって生計を立てているのだろう」という疑問には、ワークシェアリングというキーワードが答えになります。最も進んでいるオランダをはじめ、形はそれぞれ違えどもイギリス、フランス、北欧などでもワークシェアリングは広まっています。

ワークシェアリングを簡単に説明すると、1人の人が週に働く時間を減らして、その減らした分の労働時間を合計して別の人を雇用する機会を創出する制度です。オランダでは1980年代の不況時に一時14%あった失業率が、現在は2-5%ほどの失業率で落ち着いているそうです。不況時でも充実した社会保障のおかげで人々は混乱することなく、ある程度バランスよく雇用機会が調整されているようです。

ワークシェアリングの制度が定着するために必要なのは、パートタイムとフルタイムの差別をなくすことだったそうです。現在は「同じ仕事は雇用形態に関係なく同じ給料」という原則に基づき給与が支給されているそうです。そのため、生活のスタイルに合わせて、労働時間を選ぶことができます。週3日、4日しか働かない人も多いそうです。これでは週に30時間も働かないことになります。日本では週に60時以上は当たり前に働きますが、その半分以下の労働時間ということになります。それでいて、ヨーロッパのパートタイムは賃金も守られ、社会保障もしっかりしています。警官や先生までパートタイム労働者が多いそうです。これらが、平日から父親が子供遊んでいる風景を説明する理由だといえます。日本の子供達にくらべて、ヨーロッパの子供達は生き生きと楽しそうに見えます。

もちろん週に3、4日しか働かないと、年収もその分少なくなるはずです。ヨーロッパの各国の平均年収は日本やアメリカの平均年収に比べてと低いです(ただし、1時間あたりの対価に換算するとヨーロッパの労働者ほうが多くの賃金をもらっているという計算結果もあります)。ヨーロッパでは、ゆとりをもった生活を自分から選択することができるようです。年収が低くても、暮らしが豊かに感じられるということが起こりえるのです。

日本ではそうはいきません。日本ではまず政府がワークシェアリングや労働環境改善に積極的に取り組みません。ゆとりのあるパートタイムの働き方を選択しても、将来に対する不安が膨らみます。日本人はパートタイムや派遣労働者を賃金だけでなく、心理的にも低く見ているように思います。がんばらない人は負け組みで、不況になって仕事がなくなると、がんばらないツケがまわったと考えます。

日本で年収を下げてもゆとりのある幸せな生活を選択することは、社会の仕組み上とても難しいことです。そのうち日本でもヨーロッパのように働き方が多様に選択できる環境が整うかもしれません。そのような環境でも、スキルや経験が重要になります。転職する際には自分を差別化できるスキルがつくような仕事を、今から選択しておくべきかもしれません。

関連記事
  外資系で文化の違いを知る

関連リンク
  国民生活白書 - オランダにおけるワークシェアリング
  ワークシェアリングを取り上げた取材番組(You Tube)

(更新日: 2009年06月08日)




« 外資系で文化の違いを知る  |   セクションのトップへ   |  不況に強い外資系企業の業種と国籍 »
(外資系転職の情報 年収から面接まで)



トラックバックURL: