転職面接でアピールする必要はない  転職面接でアピールする必要はない - 面接対策

 日本最大の人材紹介会社リクルートエージェントの面接コンサルティング担当で、3000人の面接を成功させてきている細井智彦さんが書いた『転職面接必勝法』を読み、久しぶりに面接について深く考えさせられました。細井さんは面接に関するセミナーも開いており、この本の執筆当時までに2万人もの人が参加しているそうです。まさに面接のエキスパートです。

 面接の本を読むきっかけとなったのは、転職活動中の友人からの相談でした。その友人は、面接まではこぎつけるものの、面接で何連続も落ち続けていました。そこで、何度か転職活動をしている私に、面接で受かる方法を教えて欲しいとお願いしてきました。面接で受かったときに具体的にどう解答したか、メモがあれば見せて欲しいと頼まれました。

 私はIT系ですが、友人は電気系の職を探しており、業界もまったく違います。それでも、業界を超えた「面接に受かる模範解答」があるはずと、友人は考えていたようです。確かにメモは残っていましたが、それがまったく彼の役に立つとは思えず、メモを見せることを断りました。その代わり、面接について友人と話し合いました。話を聞いてみると、友人の場合は、これまでのキャリアと目指している職種が違っており、そもそも難しい転職活動をしていることが分かりました。そのギャップを埋めるために、面接で「歯が浮く」ような、聞いていて恥ずかしくなるような「模範解答」を言って落ちていたことも分かりました。これまでのキャリアと面接での回答に一貫性が無く、何か違和感のようなものを面接官に感じさせたのだと感じました。

 そんなことがきっかけで、面接について改めて勉強してみることにしました。「模範解答」が本当に存在するのかを知りたかったからです。『転職面接必勝法』を読むことで、面接に対する新しい見方を学ぶことができました。ここでは、やはり「模範解答を捨てる」ことが大切だと説明されていました。面接は「上手にアピールすることではない」としています。面接に行くときは「尋問に呼び出された」と感じたり、最後までマイナス面がばれないように気を張っていなくてはいけないとプレッシャーを感じたりもします。そのような態度自体が、面接を間違って捉えており、面接合格率を下げているとしているのです。

 それでは面接は何かというと「相手のニーズを知って研究することで、ニーズに無いものや有るものをはっきりさせる手順」であるとしてます。そのため、相手のニーズに対し、こちらは何が足りないのかを認識していることがとても重要になってきます。相手のニーズは、求人票を深読みするとちゃんと事前に見えてくるようです。求人票の読み方についてもこの本では触れられています。しかし、それ以上に重要なのは、マイナス面をはっきり自覚し、隠さずにどうリカバリーするかを説明できることが重要なのです。そのため、「何ができる」より「何がしたい」「今後どうなりたい」という方向性をふまえて、ギャップを埋める方法を説明することが重要なのです。マッチしているスキルに関しては、職務経歴書を見ればほとんど分かるので、面接で時間をかけて確認する必要はありません。

 また、面接官について知ることも重要だとしています。転職の場合は面接官は素人です。普段は人事にはまったく関係のない部署のマネージャーなどがほとんどなので、面接に慣れていません。そのため「転職エージェントに何を聞けばよいか教えて欲しい」と相談する面接担当者も多いようです。素人だけに間違いも犯します。自分と同じようなタイプの人を気に入ったり、好き嫌いで選んだり、些細なマナーを気にしたりすることもありえます。そのため、マナー、話し方、声の大きさなどの基本的な部分は、事前に問題が無いかどうかチェックしておいたほうがよいとアドバイスされています。

 通常面接で落ちる場合は「キャリア不足」が原因で落とされます。でも、ほんとうに「キャリア不足」が原因なら面接すらしないはずです。「キャリア不足」は言い訳にすぎません。著者が転職エージェントの立場からホンネを聞いたところ以下のような理由が返ってきたようです。(一部抜粋)

・主体性がなく受身
・コミュニケーション能力に問題を感じる
・自信過剰で協調性に疑問
・過去の自慢ばかりで未来について語れない
・なにがやりたいのかわからない
・話が抽象的で具体性に乏しい
・情熱が感じられない
・企業研究不足
・志望理由があいまい
・話が長くて何が言いたいのか分からない
・言われないとやらなそう
・ふとしたときに見せる「ゆがんだ表情」が気になった
・3分遅刻してきたのに最後までわびなかった
・靴が汚れている
・座ったまま挨拶した
・シャツの襟袖が擦り切れていた
・「とりあえず第1志望です」の「とりあえず」が許せない
・「はいはいはい」という返事が軽すぎる
・「っていうのかなー」と言った

 これらの中でも、不採用の理由No.1は「やる気が感じられない」だそうです。だからと言って、上っ面のやる気でごまかすことはできません。本気かどうかは、どれだけ企業について調べてきているかや、どれだけ具体的に説明できるかで直観的に伝わるものです。上記の些細な理由も含め、何かごまかしやうさんくささを直感的に感じる時に、採用者側としては不安を感じるようです。

 面接官について知るという観点から、もう一つ面白いと思ったことが書かれていました。それは「自己紹介をさせる理由」についてです。自己紹介をさせる理由は、これも「面接官が素人」であるゆえに、「自分の緊張をほぐすため」という理由があるそうです。その他に、「質問を考える時間をかせぐ」「分かりやすく話ができる人かをチェックする」「全体の印象をチェックする」などの理由があるようです。面接官も面接慣れしておらず、気を使っていることもありえるので、お互いけん制し合ってしまうと、場の空気が悪くなってしまうことは目に見えています。自己紹介の方法については、この本で具体的に説明されていますが、要するに「短くまとまっていて分かりやすい」のが一番のようです。

 そして、面接の最後の「企業への質問」もとても重要だそうです。何よりも緻密な企業研究が成果を生むようです。「パッとみた印象はxxだったけど、以外にxxで見直した」「うちの会社のことを一番よく理解していた」というのが合格の理由の場合も多いようです。面接官は素人ですし、知らない転職者のことをアピールされるより、自社の話で盛り上がったほうが楽しいためです。意外に、みんな自分のことをアピールするのに必死で企業のことを研究してきていないそうで、そこを逆手にとる作戦だそうです。質問の聞き方としては、「残業時間はどれぐらいですか」など、仮説のない聞き方ではなく、自分なりの仮説や予想を立てて、それを検証するという態度で聞くことが重要なようです(面接に限らず、仕事でもそうですが)。

 面接の中身である「転職理由」「志望理由」「自己PR」については、この本に具体例をふまえて詳しく解説されていますが、ここでは詳しく触れません。細かいところのコツもあるのでしょうが、まずは面接に対して正しい姿勢を持ち、相手のことをよく知ることが重要だということがよく分かりました。


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  リクルート エージェント 体験レポート

関連リンク
  『転職面接必勝法

(更新日: 2008年05月02日)




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