転職の常識は本当か - データに見る転職の実際
少し古くなりますが、雑誌「一橋ビジネスレビュー55巻3号」(2007年12月発行)の中に、「転職の常識は本当か」というタイトルで転職の一般常識を検証した記事がありました。「35歳を過ぎたら求人は極端に少なくなる」「転職は2回まで」「転職先を決めずにやめると損をする」など気になる常識を、この記事を基に改めて考えてみたいと思います。
1.「3年以内に転職する若者が増えた?」
正規雇用の転職率は1985年の2.5%から2005年に3.7%に微増しただけで、日本の転職率は相変わらず低いと言えるようです。全体で言えば若者の転職率は増加傾向にあるようですが、同時に雇用形態の非正規化(派遣など)が増加しており、転職自体が増えたとは言いきれないようです。また、大卒者の3年以内の離職率も、バブル以前からゆるやかに上昇しているに過ぎず、大きな変化は無いようです。
それでは、なぜ若者の転職が最近ポピュラーになってきたのでしょうか。その理由として、転職の数よりも質の変化が起こっていることが指摘されています。質の変化を象徴することとして「大企業に入りながら早期に離職してしまう人が増えた」ことがあげられています。銀行、商社、官公庁など本来離職率の低い分野で、離職者が出るようになってきているとされています。転職経験を、経験の豊富さとみなす外資系企業やベンチャー企業の影響もあるのかもしれません。
また、第二新卒の定着も若者の転職を一般化するのに役立っていると指摘しています。第二新卒は適職探しにやりなおしの機会を与え、1度の変更や失敗には寛容になる制度なので、第二新卒が一般化したことは労働環境によい影響を与えていると考えられます。
2.「35歳を過ぎたら求人は極端に少なくなる?」
2003年に雇用対策法が改正され、年齢制限の緩和が努力義務規定となったのに続き、2007年に一部例外を除いて募集採用における年齢制限が禁止になったそうです。法令の影響もあってか、ここ10年前までは35歳未満の求人が最も多かったのに、最近は40歳未満の求人が最も多くなり、45歳未満までのシェアも増えているようです。日本全体が高齢化している影響もあり、今後も年齢制限の壁は低くなっていく方向であると予想されます。ただし、年齢に応じた経験や知識は要求されるので、年齢が高くなるにつれて転職が難しくなるのには変わりがないかもしれません。
3.「転職は2回まで?」
転職の回数が多いと採用検討時に警戒されるということはよく聞きます。常識的な転職回数は2回と言えるのでしょうか。実際は回数というより、転職の内容のほうが重要なようです。外資系やベンチャー企業では、経験をつむために、豊富な転職経験がプラスに捉えられます。転職というリスクを犯して、様々な場所で経験を積むこと自体は評価されるべきことかもしれません。
でも、転職1、2回までの人は転職経験の無い人に比べて年収が高いのに比べて、転職3回以上の人は転職経験の無い人と年収の差がなくなるようです。また、30代を過ぎると、転職回数が増えば増えるほど年収が低くなっているようです。それなので、日本の社会では「転職は2回まで」がある程度正しい結論といえるかもしれません。
4.転職先を決めずにやめると損をする
転職先を決めずに会社をやめる人がデータ上は今でも多数派のようです。働きながら忙しい中で転職活動をする必要がなくなりますし、長期でゆっくりする休暇を取るチャンスだと考えるのは当然だと思います。でも、転職はサルの綱渡りのようなものと言われるように、次の枝をつかむまでは前の枝は持ち続けておいたほうがよいと、よく指摘されます。それを証明することとして、転職先を決めずにやめた人が2.5%年収が減少してたのに比べ、決めてからやめた人は平均9.1%も年収が増えているようです。
会社をやめてから転職活動をすると、焦りなどで心理的にネガティブな影響があったり、年収交渉がしにくくなったりすることが考えられます。また、無職の期間は社会的にもあまり好ましい状態ではないですし、その無収入の期間にも年金や健康保険は自分で支払わなくてはいけません。あらゆる意味で会社を続けながら転職活動をするのが好ましいようです。
(更新日: 2008年11月02日)
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