グローバル化する日本のビジネスと希少なグローバル対応人材 - データに見る転職の実際データに見る転職の実際
日本のビジネスは否応無しにグローバル化しています。海外展開するユニクロが2012年度の新卒採用者の約8割を外国人にするという事実も、ビジネスがグローバル化していることを顕著に示しています。日本で人材を育てて海外に送り出すだけではなく、海外でも日本企業の人材が育てられていく環境が整えられつつあります。外国人の採用人数が日本人よりも多くなるということは、日本企業でも外国人が中核メンバーを構成するようになっていくことを意味します。そのうち多くの企業が、日本の企業か外資系企業かの見分けさえつかなくなってしまうのかもしれません。本当の意味で、垣根の無いビジネスのグローバル化が今後促進されていくのです。
日本企業の真のグローバル化を象徴するのが、今年4月にオリンパスの社長に就任したイギリス人のマイケル・ウッドフォード氏です。日産のカルロス・ゴーン氏、ソニーのハワード・ストリンガー氏など、日本の伝統的な大企業の社長に外国人が就任するケースは増えてきています。しかし、これまでのケースでは、リストラなどの大改革を行うために会社外部から日本企業のトップに入ってくるパターンがほとんどでした。一方でオリンパスのマイケル・ウッドフォード氏は営業担当としてオリンパスに就職して以来、30年間もオリンパスで勤めた生え抜きの人物です。同氏が立て直した欧州事業は、現在オリンパスの利益の半分を産み出すまでに成長しています。ウッドフォード氏は、相手と対峙できるカルチャーをオリンパスにもたらすことを目標としています。その理由として、「経営幹部の大部分が日本国外にいるようになるから」と語ったそうです。すでにグローバル化を進めている多くの日本企業が、このような積極的な働き方を求めるようになることを示唆しています。
産業能率大学が行った「ビジネスパーソンのグローバル意識調査」では、日本人もグローバル化するビジネス環境に対しては前向きに捉えていることが報告されています。「日本企業がグローバル化をすすめるべきか」という質問に対して、77%もの人が賛成と答えています。グローバルな環境をより身近に感じる立場の部長クラスになると、さらに「グローバルすべき」という意見が高まるようです。好むと好まないとに拘らず、グローバル化しないと会社としての競争力が危ぶまれることを多くの人が感じているのです。「平均年収1000万円強のビジネスパーソン調査結果」でも、「最近、日本企業の新卒採用における外国人採用数が増えていますがどう思いますか?」の質問に対して、「グローバル化が進む中、外国人採用を推進すべき」と答えた回答者が約9割にのぼりました。
しかし、外国人を積極的に採用するようになったとはいえ、日本企業の就職先としての人気はまだそれほど高いとはいえないようです。全世界の就職先人気企業ランキング(The World's Most Attractive Employers 2010)を見ると、売上高では多くの企業がトップにランクインする日本企業ですが、学生からの人気ランキングでは13位のソニーと41位のトヨタしか登場しません。アメリカ以外のドイツ、オランダなどの企業は頻繁にランキングに顔を出しているので、世界的に見ると雇用者としての魅力は相対的に低いといえそうです。日本企業が世界の労働者にとって魅力的な企業になるためには、給与や待遇、労働環境などのすべてにおいてグローバルな基準を満たすようにならなくてはいけないのでしょう。
このように日本がグローバル化の真っ只中いるにも拘らず、必ずしも日本の若者がグローバル化に対応しきれているとはいえなさそうです。産業能率大学が新入社員に対して行ったグローバル意識調査(第4回新入社員のグローバル意識調査)によると、新入社員の半分は海外で働きたくないと回答したそうです。その理由として半分以上の回答者が「海外勤務はリスクが高いから」「自分の能力に自信がないから」と内向きな理由を選択しています。「日本でやりたいことがあるから」や「日本のほうが働き甲斐があるから」といった前向きな回答は多数派にはなりませんでした。一方で、海外で働きたいと答えた半数の新入社員は「日本ではできない経験を積みたいから」や「自分自身の視野を広げたいから」といった理由をあげています。この調査からも、日本の若者のグローバル志向が2極化していることが分かります。
海外転勤に対する意識も変わってきています。以前は海外転勤といえばエリートコースに乗ることを意味し、高給と昇進が約束されたステースとして人気が高く、海外を希望する社員も多かったようです。しかし、今では海外勤務を希望する若者は減ってしまい、企業も候補を探すのに苦労するという話をよく耳にします。さきほどのグローバル意識調査における「もしあなたが海外赴任を命じられたら、どうしますか?」の質問では、「命令ならば仕方なく従う」が一番多い回答でした。リクルートエージェントによる「海外異動・勤務に関する意識調査」によると、20代の若者が海外勤務に一番前向きであることが分かっており、30代、40代になると、さらに海外に前向きな人の割合は減っていきます。日本では全般的に、押し迫るグローバル化に圧倒され、海外に対して内向きになっている傾向があるように見受けられます。
日本のビジネス環境では確実にグローバル化が広がっているのに、グローバルに対応できる日本人の人材が増える傾向は見られません。外国人の採用が進んでいるのも、グローバル対応する人材が不足しているという事情からきているのかもしれません。日本では、グローバル化に対応する人材の価値はさらに高まっていきます。グローバル化に対応するといっても、語学力や海外経験があるという意味よりも、ただ意識がグローバル化に前向きであるかどうか、チャレンジする気持ちがあるかどうかを意味しているともいえます。一方、外資系企業はそもそも外国に本社があるため、上司が外国人であることはしばしばです。マーケットも日本だけでなく、海外の同僚とも協力し合う必要があることもあります。そういう意味で、これからの時代のために、グローバルな感覚を身に着けるのには最適な労働環境かもしれません。
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(更新日: 2011年07月18日)




